SCAMPI A を実施するとき、サンプリングファクタを使用して、対象プロジェクトを選択したり、プロジェクト数を決めたりします。
SCAMPIとは、Standard CMMI Appraisal Method for Process Improvementの略で、日本語にすると「プロセス改善のための標準CMMI評定手法」です。
またはエビ。
サンプリングファクタは、あらかじめ、場所、顧客、規模、組織構造、作業の種類の5つが用意されており、どれを使用してどれを使用しないのかを(その理由も)CMMI Institute に報告します。
また、この上記5つ以外のサンプリングファクタが必要であれば追加することもできます。
先日、報告したアプレイザルについてCMMI Institute のレビューアから、なぜ「規模」をサンプリングファクタとして使用していないのかもう少し詳しく説明しろと言われました。
「プロジェクトのプロセスはサイズに依存しない」という理由で使用しなかったのですが、これじゃあダメなのか? では、他のみんなはどんな理由で、サンプリングファクタを使ったり使わなかったりしているのか気になりました。
アプレイザル結果は、CMMI Institute の Published Appraisal Results
(https://sas.cmmiinstitute.com/pars/pars.aspx)で公開されています。
そこにあるすべてのデータを調べるのは数が多くて大変なので先月一ヶ月の間に実施されたアプレイザルを調べてみました。調べた時点では、66件のデータがありました。
それぞれの件数は下記のとおり。
場所: 2件
顧客: 13件
規模: 12件
組織構造: 10件
作業の種類:33件
複数のサンプリングファクタを使用している事例もありましたので、合計は66になりません。
作業の種類が一番人気で、場所が極端に少ないという結果でした。1つ1つ見ていきましょう。
場所を使用しない理由は、すべてのプロジェクトが同じ場所というのが圧倒的に多かったです。
その他は、場所は違うけど同じ標準プロセスを使用しているというのが数件ありました。
顧客を使用しない理由は、だいたい2つに分かれます。
1つは、顧客の種類は1つしかないというものです。
すべてが金融業界であるとか、すべてが政府だとか。
もう1つは、いろいろな顧客がいるが、顧客に係らず標準プロセスは同じだとか、同じ品質管理システムで管理しているとか。
規模を使用しない理由は、これもだいたい2つに分かれます。
1つは、すべてのプロジェクトは同じような規模。
小規模であるとか、15人以下であるとか。
もう1つは、規模にかかわらずすべてのプロジェクトは同じプロセスに従っているというもの。
組織構造を使用しない理由は、大半が、すべてのプロジェクトは1つの部で実施されているといういものでした。
その他、他のサンプリングファクタと同様にプロセスが同じというものも数件ありました。
作業の種類を使用しない理由は、大半が、すべてのプロジェクトが同じ種類の作業だというものです。
開発とか。
他の理由は、すべてのプロジェクトが同じプロセスを使用しているとか、作業の種類はプロセスに影響を与えないとか。
サンプリングファクタを使わない理由は、とりあえず「ひとつしかないから」。
もし2つ以上ある場合は、「同じプロセスを使用しているから影響なし」としておくのが、定番みたいです。
ついでに以下のものも調べてみました。
○標準のサンプリングファクタ以外ではどんなものが使用されているか?
・ライフサイクル
・調達
・技術
・プロジェクトの種類
・プロダクトライン
・成果物の種類
・リソースプランニングツール
この中ではライフサイクルが多かったです。
○サブグループの数は?
平均は2.4で、最大は6、最小は1です。
○サンプルのベーシックユニットの数は?
平均は4.0で、最大は12、最小は1です。
第119号:そのサンプリングファクタを使用しない理由は何?
2014年02月25日
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そのサンプリングファクタを使用しない理由は何?