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第113号:ビブリオバトル

2013年08月23日

  • ビブリオバトル

    先日ビブリオバトルに参加しました。読者の皆さんはどこで本に出会いますか?
    amazon.co.jp の「この商品を買った人はこんな商品も買っています」でしょうか?
    こんな本との出会い方もあっていいと思う。

    何が出てくるかわからないところは、ポップコーンナイトのよう。
    映画の題名、内容、監督、出演者などを一切知らせず行うオールナイト。
    むかし、京都みなみ会館でやっていた。ふだん見ないような映画を強制的に見せられる、とても刺激的な体験。

    ビブリオバトルは、オールナイトでもなく、本編が上映されるわけでもなく紹介だけなので、ポップコーンナイトに比べるとずっと楽。
    でも本の出会いとしては刺激的だ。予告編だけのポップコーンナイト。
    でもビブリオバトルは映画ではないよ。本を紹介し合って一番読みたくなった本を決めるゲーム。

    ビブリオバトルは、静かなブームらしいですが、知らない方も大勢いらっしゃると思いますので、簡単に説明しておきますと、「人を通して本を知る」フィルタリング装置。
    書籍推薦システム。下記のビブリオバトル普及委員会の公式ルールで行われます。

    1.発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる。
    2.順番に一人5分間で本を紹介する。
    3.それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2~3分行う。
    4.全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員一票で行い、最多票を集めたものを『チャンプ本』とする。

    今回は、エバンジェリストの本やオーケンの小説などが紹介され、すべての発表が終わった後に投票が行われ、チャンプ本に選ばれたのは『田宮模型の仕事』でした。
    では少しだけチャンプ本の紹介を再現しましょう。

    「静岡と言えば?」
    「富士山!」「お茶!」「うなぎパイ!」
    「もっと別の。出ないか? 静岡と言えば、模型です。プラモデルです」
    「そうくるか」
    「模型の全国シェアの70%が静岡のメーカーで占められています」
    「へぇ~~」
    「では、プラモデルと言えば?」
    「ガンダム!」「バンダイ!」
    「う~ん」
    「タミヤ!」
    「そう、タミヤ! というわけで今回紹介する本は『田宮模型の仕事』です。この本は、その当時タミヤの社長だった人が書いた本で、プラモデルへの参入に出遅れたタミヤが、押しも押されもせぬ一流の模型・プラモデルメーカーになっていく過程が描かれています。タミヤのプラモデル、何か作ったことありますか?」
    「ミニ四駆」
    「ミニ四駆か~。私とは世代が違うな。ま、いいです。タミヤの製品って、とてもクオリティが高いですよね。戦車の模型を作るために戦車の車体の下にもぐりこみ服を泥だらけにしながら取材したり、ポルシェの模型を作るために本物のポルシェを買ってを解体したりしているんですよ。よい製品を作り出す仕事っぷりというか気概というか熱意は、ソフトウェアエンジニアの仕事のしかたにも参考になります」

    こんな感じでビブリオバトルは、口頭で本の魅力を伝えていく。スライドや配布資料は使用しない。
    5分たったところで発表はきれいに終わらず時間切れ。そのあと2~3分の質疑応答。

    「ハイクオリティなものをつくる秘訣ってなんですか?」
    「妥協しないことだと思います。シュビムワーゲンって知ってますか? 知らない? シュビムワーゲンはドイツの水陸両用車で、生産台数も多く、第二次世界大戦の写真を見るとちょくちょく写ってます。この1/35スケールの模型を作るときに、資料となる実車に幌がついていなかったので、想像で金型を製作した直後、サンフランシスコに幌付きのシュビムワーゲンを持っている人がいるという情報が入って、見てみると想像で設計した幌とはだいぶ形が違っていたので、作り直して、発売を二ヶ月遅らせたというエピソードがありました。こういう場合はみなさんならどうしますか? そのままリリースしますか? それとも発売日を遅らせて作り直しますか?」

    その後も質問は続きましたが、以上のような感じでビブリオバトルは進行しました。

    さて、IT業界は変化が早い業界であり、ソフトウェアエンジニアは日々自己研鑽する必要があります。いろいろなイベントに参加したり、本を読んだりして情報を収集していることでしょう。

    そんな方々のための役に立てるように、弊社では、ソフトウェア開発に関連する方々のためのビブリオバトルを企画しています。刺激を求める方々の何かのきっかけになればいいなと思っています。