D-column

#5 : 農薬に頼らない病害虫対策について

2024年04月01日

  • 日差しがだんだんと暖かくなり、新たな植物が芽吹く時期となりました。
    私たち農業従事者としても寒さに弱いメロンなどの栽培がしやすくなる嬉しい季節です。

    さて、寒さもそうですが農作物の栽培には困難が付きまといます。
    水不足・日射不足・急激な気温変化・病気・台風被害など…。
    ですが農業従事者の頭を常に悩ませているのは病害虫です。
    気候による被害などは施設内で栽培するなどの方法である程度軽減できますが、
    病害虫による被害は施設内でも発生します。

    ほとんどの場合、病害虫の対策としては主に農薬が使用されてます。
    しかし農薬のみでの対策は虫が耐性を獲得して徐々に効かなくなる可能性があるため、
    様々な手法を組み合わせて対策するという考え方…IPM(総合的病害虫管理)が推奨されています。

    袋井に圃場を持つルーツではIPMの観点から様々な方法での病害虫対策に取り組んでいますので紹介します。


    メロンの施設栽培に高頻度で発生する病害虫にはアザミウマとコナジラミがいます。
    体長は1mmほどで植物にストロー状の口を刺すことで吸汁し加害します。

    これらの病害虫はそれぞれ特定の波長の光によってさまざまな影響を受けます。
    アザミウマは630nmの波長を視認できないので、
    赤色LEDを施設内に吊り下げることでアザミウマは周りを認識できなくなり、
    繁殖・移動を防ぐ効果があります。

    またコナジラミには青色の470nmの波長を当てると行動抑制と忌諱効果があり、
    こちらも病害虫への対策として効果があるとされています。














    他には病害虫を食べてくれる生き物…天敵を使用する方法もあります。
    スワルスキーカブリダニはアザミウマやコナジラミを捕食するため、
    適切に導入・管理すれば従来の農薬使用頻度を下げることが可能です。
               (スワルスキーカブリダニが入ったパック剤→)

    しかし、病害虫が増えるより前に導入しなければ効果が薄かったり、
    ダニも駆除してしまう農薬は使用できなくなったり、
    ダニが活発に活動できるように湿度を高く保持する必要があったりなど
    使用上の注意点が多くあります。


    ルーツでは試験的にLEDや天敵を導入し、効果を検証しています。
    今後も新たな病害虫対策を検証・導入していく予定です。


    [M.T]