プロジェクトの初期段階では、プロジェクトがどのような作業を含むのか、どのような作業成果物を作成していくのかの範囲を明確にすることが重要です。そのため、プロジェクト全体の関連する作業を管理可能な単位(ワークパッケージ)に分解し、階層化したWBSを作成します。WBSは、工数やスケジュール、責任割り当ての基盤としても利用できます。
WBSはプロジェクトが進むにつれてよりタスクを詳細化していきますが、初期段階の見積もり時点では、第1~2階層のタスクと作業成果物を洗い出して、プロジェクト全体の範囲を明確にしましょう。また、技術的な作業成果物を作成するタスクだけではなく、レビューや進捗管理などのプロジェクト管理に関するタスクも含めましょう。
根拠のある工数や費用を見積もるために、作業成果物の規模を見積もり、作業の「サイズ」を明確にする必要があります。例えば、機能数、入出力数、ファンクションポイント、ソースコード行数、ページ数、ミーティング回数などです。また、難易度、複雑度の大・中・小などの相対的なレベルを割り当てて、より正確なサイズを表現できるようにしましょう。
WBS、属性見積もりの結果、過去の実績データなどを用いて、工数および費用を見積もります。過去の実績データがあればそれを参照することで見積りの信頼度は高くなりますが、ない場合は見積りのためのより詳細な調査を行ったり、見積りに起因するリスクの特定などを行っておいた方が良いでしょう。
また、デルファイ法や自社独自の見積もりモデルを使用する方法も根拠のある見積もりを行う方法の1つです。いずれかの方法、または複数の方法を使用して、見積もりをレビューする人が納得できるよう、見積もりの根拠を明確にしておきましょう。