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#24:水をあげすぎていませんか?甘いトマトを育てる3つのポイント

2025年11月04日

  • 冬の間、ルーツでは高糖度トマトを栽培してます。
    トマトは家庭菜園でも人気の高い野菜ですが、「うまく育たない」「実がなかなかつかない」といった悩みをよく耳にします。
    でも実は、トマト栽培に必要なのは、特別な技術ではありません。ちょっとしたコツを押さえるだけで、おいしいトマトに近づけることができるのです。
    今回は、私自身の経験から見えてきた、トマトをおいしく育てるための3つのポイントをご紹介します。

    1. 水をあげすぎない
    トマトは「乾燥を好む植物」と言われています。
    根が深くまで伸びる性質があるため、水を与えすぎると根が浅くなり、結果として実の味がぼやけてしまうことがあります。
    大切なのは、「少し乾かし気味」に育てること。苗のうちはやや多めに水を与え、実がつき始めたら徐々に水を控えることで、糖度の高いトマトに育ちやすくなります。
    培地が常に湿っている状態は根腐れや病気の原因になります。葉の色や培地の乾き具合を見ながら、1日1〜2回の灌水を微調整するとよいです。

    2. 日当たりと風通しを確保する
    トマトは太陽の光が大好きです。
    日光をたっぷり浴びることで光合成が活発になり、実にしっかりと甘みがのってきます。
    苗を植えるときは、株間をしっかりと確保し、風通しのよい配置を心がけましょう。
    風通しが悪いと湿気がこもり、カビや病気のリスクが高まります。
    また、わき芽かきをこまめに行うことで、栄養が実に集中し、形の整ったトマトに育ちます。

    3. 肥料よりも「バランス」を大切に
    「肥料をたくさんあげればよく育つ」と思いがちですが、実はやりすぎは逆効果です。
    トマトにとって大切なのは、三大栄養素である窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)のバランスです。
    特に窒素が多すぎると、葉ばかりが茂って実がつきにくくなる「つるぼけ」の原因になります。
    一方、リン酸やカリウムは花や実の成長を助ける栄養素。開花後はこれらを少しずつ補いながら、全体のバランスを整えることが大切です。
    葉の色も、栄養状態を知る手がかりになります。
    濃い緑色は窒素過多、薄い黄緑色は栄養不足のサイン。葉の様子をよく観察しながら、必要な栄養を見極めていきましょう。

    (三大栄養素の役割と与えるタイミング)
    ・窒素(N)
    葉や茎の成長を促進する基本的な栄養素。定植前〜生育初期にやや多めに与え、その後は控えめに。
    ※多すぎると「つるぼけ」になり、実がつきにくくなります。

    ・リン酸(P)
    根の発達や花芽の形成、実のつきに関与。定植前と開花前後に重点的に与えましょう。
    ※不足すると花が咲かず、実もつきにくくなります。

    ・カリウム(K)
    果実の肥大や糖度の向上、病害虫への抵抗力を高めます。開花期〜収穫期にかけて多めに与えるのが効果的です。
    ※不足すると実が小さくなり、品質も低下します。

    最後に
    トマトづくりは、まるで人間関係のようだと思います。
    水を与えすぎてもダメ、放っておきすぎてもダメ。
    適度な距離感で、日々の変化を見守りながら、少しずつ手をかけていくことで、植物も応えてくれます。
    これからも試行錯誤を重ねながら、「食べた人が笑顔になるトマト」を育てていきたいと思います。

    [F.M]