事業・サービス

CMMI-SVCで自社のサービスマネジメントを改善

ITの進化・普及により、システム開発プロセスの改善だけではなく、保守・運用していくことのプロセス改善の重要性が高まってきました。
自社の情報システムの保守・運用を担当されている方向けに、
CMMI V2.0の「CMMIサービス(CMMI-SVC)ビュー」を使ったプロセス改善についてご紹介します。

ITサービスマネジメントの重要性

システム開発プロジェクトにおいて、QCDを確保して無事にカットオーバーを迎えることは重要な課題であり、その課題解決のために「CMMI開発(CMMI-DEV)」のようなベストプラクティスをまとめたフレームワークを参考にしたプロセス改善が行われてきました。

しかし近年では、社会のあらゆる部分にITが普及した結果、一から新たにシステムを構築する機会は減少し、稼働中のシステムの保守や再構築を行う機会や、クラウド環境にシステムを置き換えて運用していくという機会が増えてきました。

そのため、システムという「有形の成果物」を構築することだけでなく、保守・運用という「無形のサービス」について、システムの価値を高めるように正しく効率的に改善していくサービスマネジメントの重要性が高まってきました。

CMMI-SVCとは

サービスマネジメントの改善のためのフレームワークとして、CMMI V2.0の「CMMIサービス(CMMI-SVC)ビュー」があります。
CMMI V2.0は、組織やプロジェクトが自身にとって重要なものに焦点をあわせるようにするため、「ビュー」というモデル構成要素の組み合わせを利用できるようになっています。CMMI-SVCは、ISACAにて定義された事前定義ビュー(開発、サービス、供給者管理など)のうちの1つで、社外または社内の顧客向けのサービスを提供する組織のためのビューです。
国内のソフトウェア開発やシステム開発において広まっているCMMI-DEVは、有形の「成果物」を対象にしますが、CMMI-SVCは無形の「サービス」を対象にします。

CMMI-SVCの改善対象とする業務

CMMI-SVCがターゲットとしている業務はITサービスだけではありません。無形のサービスを行なっている業態であれば、IT関連業務に限らず、あらゆる業務に幅広く適用することが可能です。

CMMI-SVCが適用可能な業態の例

  • システムの保守・運用(データセンター運営等)
  • クラウドシステムのサービス導入・運用業務
  • ユーザー企業内の情報システム室の業務(社内システム運営、情報設備の管理等)
  • ITサービス(インターネットプロバイダ業務等)
  • コールセンター業務(ヘルプデスク等)
  • 教育サービス(セミナーの企画、運営、講師派遣等)
  • コンサルティングサービス
  • プロセス改善チームの業務
  • スクール、学習塾、フィットネススタジオ等の運営

CMMI-SVCのプラクティス領域

CMMI-SVCには、中核となるプラクティス領域のほか、ドメイン固有の要素として、サービスの提供と管理の能力領域に属するサービス提供管理(SDM)と戦略的サービス管理(STSM)、事業レジリエンスの管理の能力領域に属するインシデントの解決と予防(IRP)と継続(CONT)の4つのプラクティス領域が含まれます。また、CMMI V2.2より追加された、仮想ソリューション提供の支援(EVSD)、安全性の支援(ESAF)、セキュリティの支援(ESEC)、セキュリティの脅威と脆弱性の管理(MST)を含め、全部で26個のプラクティス領域が対象になります。

CMMI-SVCドメインのプロセス領域の概要
サービス提供管理(SDM) 確立されたサービスレベル合意に基づいたサービスの提供を管理する。
戦略的サービス管理(STSM) 戦略的なニーズおよび計画に合致する標準サービス群のポートフォリオを形成し最新に保つ。
インシデントの解決と予防(IRP) 提供に影響を与える可能性のある、実際に発生したインシデントおよび起こり得るインシデントを特定する。
インシデントの発生時に対処するアプローチを確立する。
再発を防ぐためにインシデントを分析する。
継続(CONT) 重大な、または致命的な事故が発生した場合に、運用を継続するために必須な重要機能および資源の集合を計画し、妥当性確認を行う。

CMMI-SVCを使った改善例

改善例01

パッケージシステムの導入・指導業務におけるミス削減

対象業務システムの保守・運用、または教育サービス

パッケージソフトウェアのセットアップおよび操作方法の指導を行う業務において、導入先の顧客先に赴いてから、必要な機器の手配漏れや、導入日にセットアップ媒体が届いていないという問題が発覚することが度々あった。

準備漏れしやすい問題点を洗い出し、それらをチェックリスト化して導入指導を行うマニュアルに追加した。
導入指導前には、そのチェックリストにもとづいて準備が十分に行われているかを、複数の担当者間で客観的にチェックするようにすることで、問題となっているミスをなくすことができた。

関連のCMMI-SVCのプラクティス領域

  • サービス提供管理(SDM)
  • インシデントの解決と予防(IRP)
  • プロセス品質保証(PQA)

改善例02

スクール送迎バスのサービスシステム改善による会員満足度向上

対象業務スクール運営

通い先のスイミングスクールに自分の子供がちゃんと寄り道せずに行ったのか、帰りも時間通りに無事にスクールを出たのかが分からないので、夜遅い時間帯だと不安との声が子供の両親からあがっていた。

両親の不安の声に答えるための対応策として、そのスクールの送迎バスに、乗降時にICチップ入の会員カードをかざすと、登録した会員の両親宛に乗降したことを知らせるメールが飛ぶようにしたシステムを開発し、導入した。
両親の不安を減らし、会員満足度を向上させることに成功した。

関連のCMMI-SVCのプラクティス領域

  • サービスシステム提供管理(SDM)

CMMI-SVCを使ったプロセス改善の進め方と弊社の支援サービス

CMMI-DEVと同様に、CMMI V2.0導入と移行の手引きをもとにしたプロセス改善の進め方が適用可能です。
トレーニングにてCMMI-SVCを理解し、CMMI-SVCのプラクティス領域やプラクティスを参考に、現状の業務とのギャップを把握します。そして、ギャップをどのように改善するかアクションプランを策定し、改善活動を進めます。

弊社では、CMMI-SVCのトレーニング、ギャップ分析、改善活動全体を支援するコンサルティングのサービスが提供可能です。CMMI-DEVおよびCMMI-SVCによるプロセス改善の知識・経験を持ったコンサルタントが、御社のサービスマネジメント改善をご支援させていただきます。
ご興味のある方は、下記よりお問い合わせください。