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第245号:ワークフォース・エンパワーメント

2024年08月23日

  • ワークフォース・エンパワーメント

    CMMI V3.0には、新たに人材に関連するプラクティス領域が追加されています。

    人材エンパワーメント(原文では、Workforce Empowerment, WE)です。

    モデルの付録E:用語集によれば、エンパワーメントとは……

    「技術、プロセス、および人員に関する決定を自律的に実行できる能力を持ち、特定のタスクを実行するために個人またはグループに与えられる権限」

    エンパワーメント! なんて素敵な響きなんでしょう! みなさんの組織は権限委譲に積極的ですか、または消極的ですか?

    「いろいろとやらなければならない責任はあるが権限がない」とお嘆きの方は、このプラクティス領域をぜひ読んでみてください。

    また、このプラクティス領域は人事異動も扱っています。みなさまの組織では、新しい人が組織に入るときのオリエンテーションやトレーニングを実施していますか? 逆に組織から人が去っていくときの活動は決まっているでしょうか? 慎重に計画されていない場合は、モラルの低下、セキュリティ違反、パフォーマンスの問題など、困ったことが起こるかもしれません。

    さらに、組織のパフォーマンスを向上するためには、ワークグループ間で効果的な情報交換を行うことも重要です。

    「他部署とのコミュニケーションをもっと良くしたい」と思っている方にもぜひ読んでいただきたいプラクティス領域です。

    以下に、プラクティス領域の意図と価値、プラクティスを載せておきますので参考にしてください。

    意図
    人材を組織の事業目標に整合させ、個人とワークグループが効率的かつ効果的に役割を遂行できるようにする。

    価値
    事業の成功に貢献する人材の能力を高める。

    レベル 1
    WE 1.1 ワークグループへのコミットメントを特定し、割り当てる。

    レベル2
    WE 2.1 資格、スキル、および関連する基準の評価に基づいて、作業割り当てを記録し、割り当て、最新に保つ。
    WE 2.2 役割およびワークグループへの個人の出入りを管理する。
    WE 2.3 ワークグループ内およびワークグループ間のコミュニケーションおよび調整の仕組みを開発し、最新に保ち、使用する。

    レベル3
    WE 3.1 組織の能力を構築し、目標を達成するために、人材のコンピテンシーを開発し、最新に保ち、使用する。
    WE 3.2 ワークグループに権限を与えるための組織構造とアプローチを開発し、最新に保ち、使用する。
    WE 3.3 組織の報酬戦略とメカニズムを開発し、最新に保ち、使用する。


    というわけで、組織のパフォーマンスは、その人材の能力の影響を直接受けます。ビジネス目標を特定し、それを達成するために必要なコンピテンシーを決め、人材を管理しましょう。